温室効果ガス排出削減への取り組み
ヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータでは、温室効果ガス排出削減に取り組んでいます。 一般的な計算機では、仮想化によるサーバ統合等によりサーバ台数を削減することが可能です。 これに対して、スーパーコンピュータでは 24 時間、365 日、常に多数のジョブが実行され続けており、 多数の計算機が常にフル稼働しています。
スーパーコンピュータの運用において、計算機の処理効率を 落とさずに省エネ化を行うことは困難を伴いますが、運用状況を詳細に分析し、削減可能なリソースを徹底的に削減するための努力を日々行っています。
空調消費電力量の 2009 年度比約 10% 削減
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空調消費電力量が 2009 年度比約 10 % 削減を達成しました。(2010 年 7 月)
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2009 年 8 月, 9 月は例年に比べ記録的冷夏で、2010 年 8 月, 9 月は猛暑であったため、2009 年度比で電力量を削減できませんでした。
スーパーコンピュータ室の温度について
多数の計算機で構成されるスーパーコンピュータは、大量の電力を消費し、大量の熱を生み出します。計算機は動作温度があがると、プロセッサ内部の電気信号処理のエラーによる誤動作や、熱損耗等によるハードウェア障害が発生するため、人が生活するための室温よりも低い室温における運用が行われています。 しかしながら地球温暖化問題を鑑みると、多くの電力を必要とするスーパーコンピュータの運用において、省エネ化による温室効果ガスの排出量削減を行うことは非常に重要な課題です。
そのため、現在ヒトゲノム解析センターでは、以下の取り組みを実施しています。
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空調機消費電力、計算機消費電力、計算機筐体内部温度の監視
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熱だまり箇所の分析と、空調機設定温度の最適化
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冬季におけるは、空調機を部分的な停止 (停止する空調機はローテーションを行い、長期間停止することの影響を最小化する)
サーバ室内温度分布図
サーバきょう体温度監視チャート
囲いの設置
スーパーコンピュータの高熱排熱により、空間中の一部分だけが熱くなる「熱だまり」が発生します。上記サーバ室内温度分布図では、黒丸の部分に吸気温度 25 ℃の熱だまりが発生しています。この熱だまりは、近接ラックのブレードサーバの安定稼働にも悪影響をおよぼすことがあります。このような熱だまりに対しては、サーバ室全体を空調機で冷却する方法では、熱くない部分まで過剰に冷やすことになり、冷却効率が悪くなるだけでなく、過剰な電気代もかかってしまいます。
この問題に対して、左図のような囲いを設置し、冷気を囲いの床下から吹き上げさせることで、サーバ筐体前面吸気部分の温度を空調機吹き出し口温度と同一にして、熱だまり問題を解決しました。
その他の取り組み
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スーパーコンピュータ室内の蛍光灯は、必要な時以外消灯しています
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計算機の CPU 負荷に応じて、動作周波数を変更することの効果を検証しました。 CPU 負荷が高い時の動作周波数は、処理速度が低下するため変更できません。そこで、ジョブが実行されておらず CPU 負荷が低い時に、 CPU 動作周波数を低下させる設定について、検証を行ないましたが、 CPU 負荷が低い時には、既に消費電力量が低下しており、削減効果を確認できませんでした
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日立アプライアンス株式会社のインバーター制御による高効率空調機により、空調の省エネ化を実現しています。詳細はこちらをご覧ください
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サーバ室内温度分布図は、 3 次元熱流体シミュレータを使用した空調環境コンサルティングサービス「AirAssist®」により、スパコン室の空調環境をシミュレーションしました。詳細は、こちらをご覧ください
医科研所内の消費電力モニター (所内専用)
新たな発見と学習
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