アジア最大のバイオレポジトリーで COVID-19 の治療標的を発見
ヒトゲノム解析センター井元清哉教授らが参画するコロナ制圧タスクフォースは、新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) 感染症 (COVID-19) 患者検体のゲノム解析を進め、アジアで初めて COVID-19 患者さんと健常者との遺伝子型を網羅的に比較する大規模ゲノムワイド関連解析を実施しました。その結果、免疫機能での重要な役割が知られる「Dedicator of cytokinesis 2 (DOCK2)」と呼ばれる遺伝子の領域の遺伝子多型が、65 歳以下の非高齢者における重症化リスクと関連性を示すことを発見しました。また、 RNA-seq 解析、 single cell RNA-seq 解析、一細胞解析、病理解析、細胞実験、動物実験による詳細な解析から、DOCK2 が COVID-19 の重症化のマーカーとなるだけでなく、COVID-19 の治療標的となることを見出しました。これらの成果は今後の新しい治療戦略につながると考えられます。
この究成果は、2022 年 8 月 8 日 (英国時間) に国際科学誌『Nature』オンライン版に掲載されます。コロナ制圧タスクフォースは、新型コロナウイルスと闘う患者さんや、医療従事者と共に、新型コロナウイルスの克服、そしてネクストパンデミックに備える社会の公器として、引き続き活動を続けていきます。
詳しくは東大医科研プレスリリースまたは、コロナ制圧タスクフォースのプレスリリースをご覧ください。
掲載誌: Nature (オンライン版) DOCK2 is involved in the host genetics and biology of severe COVID-19.
コロナ制圧タスクフォースとは
COVID-19 は、流行の始まりから 2 年経過した現在も社会の脅威であり続けています。これに立ち向かうため、2020 年 5 月に感染症学、ウイルス学、分子遺伝学、ゲノム医学、計算科学、遺伝統計学を含む、異分野の専門家が集まり、共同研究グループ「コロナ制圧タスクフォース」を立ち上げました。コロナ対応の最前線に立つ医療従事者からも大きな賛同を得て全国 100 以上の病院が参加し、2022 年 7 月末時点で 6,000 人以上の患者さんのご協力で、アジア最大の生体試料数を持つ研究グループへと発展しました。
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